ITは「人と向き合う仕事」だった。公務員志望からプログラマーへ、杉浦琉生さんが見つけた進路
高校時代はサッカーに打ち込み、将来は公務員や警察官を考えていた。ITは「未知の世界」で、進路の選択肢にはまったく入っていなかった。
「人のためになる仕事がしたい」という思いは変わらなかった。でも、その手段がITに変わっていった。
そう話すのは、株式会社プロトソリューションでプログラマーとして働く杉浦琉生さん。現在は中古車情報プラットフォーム「グーネット」のアプリ開発に携わり、既存機能の改修や新機能追加を担当している。
パソコンに向かって黙々と作業するイメージが強いITの仕事。しかし杉浦さんが語るのは、クライアントやチームと対話しながら課題を解決していく、コミュニケーションの多い仕事の姿だった。

会社紹介
株式会社プロトソリューションは、システム開発支援、クラウド構築支援、IT人材支援、AI・RPAによるDX支援などを展開する沖縄発のIT企業です。「グー沖縄」「グーバイク沖縄」「グーホーム」「スキット高卒ナビ」などのサービスも手がけ、テクノロジーと人財で企業や地域の課題解決を支えています。
杉浦 琉生(すぎうら りゅうせい)さん
株式会社プロトソリューション ITインテグレーション部門 沖縄 ソリューション開発部沖縄所属。職種はプログラマー。琉球大学 国際地域創造学部 国際地域創造学科出身。現在は「グーネット」のアプリ開発を担当し、既存機能の改修、バグ修正、新機能追加などに携わっている。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 高校時代 | 3年間サッカーに打ち込む。ITは進路として考えておらず、公務員や警察官を検討。 |
| 大学時代 | 琉球大学 国際地域創造学部で経済や地域について学び、ゼミでプログラミングやデータサイエンスに触れる。 |
| 就職活動期 | 東京のIT企業でエンジニアインターンに参加。自分にITが合うかを確かめる。 |
| 入社後 | 「グーホーム」や「グーネット」の開発を経験。「スキット高卒ナビ」の社内リーダー公募にも手を挙げる。 |
沖縄から、全国のユーザーに届くアプリをつくる
━━━現在のお仕事について教えてください。
現在は、中古車情報プラットフォーム「グーネット」のアプリ開発を担当しています。プログラマーとして、既存機能の改修やバグ修正、新規機能の追加などを行っています。
チームは約15人規模で、プログラマーやSEなどが関わっています。朝は部署やチームでの共有から始まり、担当している案件の相談や報告をした後、開発作業に入ります。日によってミーティングはありますが、多くの時間は実際にコードを書いたり、動作を確認したりしています。
━━━どんな時にやりがいを感じますか?
自分が担当したものがリリースされて、世の中に出ていく瞬間はうれしいです。アプリを通して、車を探す多くのユーザーの体験につながっていくので、そこはやりがいですね。
ITの仕事は、想像以上に「人と話す」
━━━アプリ開発というと、一人で黙々と作業するイメージもあります。
実際には、クライアントの方と会話して要件を詰めたり、チームのメンバーに相談したり、方針を確認したりすることが多いです。ずっと一人で作業しているというより、人と話しながら進める仕事だと思います。
わからないことがあった時も、人に聞けることは大事です。聞いた方が早いことも多いですし、他の人の視点をもらえることで、自分では気づけなかったことに気づけることもあります。
ITは技術だけで成り立つ仕事ではない。聞く力、伝える力、チームで動く力が、開発の現場では大きな力になる。
同席した人事の山城さんも、「ITは技術が重要視されるイメージがあるが、一番はコミュニケーション力」と話していました。技術は入社後でも身につけられる。けれど、わからないことをそのままにせず聞けること、自分の考えを相手に伝えられることは、成長のスピードにも関わってきます。

高校時代:「ITはまったく選択肢になかった」
━━━高校時代は、どんな学生でしたか?
高校では3年間サッカーをやっていました。進路としては、公務員や警察官も考えていました。ITはまったく選択肢として考えていなかったです。未知の世界でした。
━━━公務員を考えていた理由は?
沖縄だったり、人のためになる仕事がいいなという思いがありました。公務員を考えていたのも、その軸があったからだと思います。ただ、本当に自分がやりたいことなのかを考える中で、大学に入ってから探してもいいのではないかと思うようになりました。
最初から明確な夢がなくても、進路はそこで終わりではない。杉浦さんの歩みは、大学での出会いや経験によって、自分の軸が少しずつ形を変えていくことを示している。
大学で見つけた、地域課題を解決するITの力
━━━大学では、どんなきっかけでITに関心を持ったんですか?
琉球大学の国際地域創造学部で、経済や地域について幅広く学びました。その中で、プログラミングに触れるゼミがあって、Pythonやデータサイエンスのようなことを学ぶ機会がありました。
最初は、自分もスキルを身につけてみようという気持ちでした。でも触っていくうちに、プログラミング自体が面白いなと思うようになりました。できることが多いんだな、と。
━━━「人のためになる仕事」という軸と、ITがつながった瞬間はありましたか?
料理に使う葉っぱの生産者と、それを必要とするお店をシステムでつなぐ事例を知ったことが印象に残っています。ITは、地域の産業や経済を支え、人と人をつなぐ手段にもなる。その時に、自分もそういうアプローチで人のためになりたいと思いました。

東京のインターンで「自分に合うか」を確かめた
━━━IT業界のことは、どのように調べていきましたか?
まずは手を動かしてみることでした。学習サービスでHTMLやCSSを学んだり、就活を通して企業説明会やイベントに参加したり、YouTubeを見たりして、IT業界について知っていきました。
ITは未経験に近い状態だったので、本当に自分に合っているかを確かめたい気持ちもありました。それで、東京のIT企業で1週間ほどエンジニアのインターンに参加しました。半分は就活、半分は自分を試す目的でした。
━━━実際に参加して、何を感じましたか?
プログラミングそのものだけでなく、人が求めているものをどう形にするか、自分の考えをどう伝えるかが大切だと感じました。いい機会だったと思います。
この行動力は、採用時にも印象に残っていたという。山城さんは、杉浦さんのリーダーシップや行動力、自分を試せるバイタリティを評価したと話していた。興味を持ったら、実際に動いてみる。その積み重ねが、進路を自分のものにしていった。
若手にも任せる環境で、プロジェクトを動かす側へ
━━━プロトソリューションを選んだ理由は?
社員の方や、人事の山城さんと関わる中で、雰囲気がいいなと感じたことが大きかったです。挑戦を後押ししてくれる環境もあると思います。
取材でも、周囲と自然に言葉を交わしながら仕事を進める空気が印象的だった。

入社後は「グーホーム」や「グーネット」の開発を経験しました。また、「スキット高卒ナビ」の社内リーダー公募に手を挙げ、プロジェクトを推進する立場も経験しました。普段はプログラマーとして作る側にいますが、そのプロジェクトでは、要件を整理して作ってもらう側として動く場面もありました。
━━━作る側から、動かす側に回ってみてどうでしたか?
どう伝えれば、作る側がわかりやすいかを考えるのが難しかったです。コミュニケーションツールをどうするか、要件をどう渡すか、完成までどう責任を持つか。何もないところから進める経験は大きな学びになりました。

わからないことを越えるたび、仕事は面白くなる
━━━入社後、壁にぶつかったことはありましたか?
最初は「何がわからないのかがわからない」状態でした。今も日々、わからないことは出てきます。でも、一つずつ調べて、聞いて、理解していくことが大切だと思っています。
わからないことは不安にもなりますが、解決できた時の手応えにもつながります。なかなか解決できなかったことがわかった瞬間や、止まっていたタスクが前に進んだ瞬間は面白いです。
━━━今後の目標は?
今後はリーダーとしてチームを引っ張っていく立場を目指したいです。ゆくゆくはプロジェクトマネージャーとして、サービス全体を見られる人になりたいと思っています。
好きなことや興味は、未来の仕事につながっていく

━━━仕事以外の時間は、どのように過ごしていますか?
体を動かすのが好きで、それがストレス発散にもなっています。ランニングをしたり、ジムで筋トレをしたり、サウナに行ったりすることが多いです。映画も好きで、いろいろなジャンルを見ます。
━━━進路を考えている高校生へ、メッセージをお願いします。
今、自分が興味を持っていることや好きなことに目を向けることが大切だと思います。そこから自分のやりたいことにつながっていくこともあるので、日々の中で「何かにつながらないかな」と考えてみるといいと思います。
ITは、最初から得意な人だけの仕事ではない。人のためになる仕事がしたい。地域に関わる仕事がしたい。チームで何かを形にしたい。そんな思いも、ITの世界につながっていく。杉浦さんの歩みは、そのことを教えてくれる。
※ この記事は2026年4月の取材時点の情報に基づいています。